共有物Q&A

共有物Q&A

共有物に関するよくあるご質問

 
 

Q1.私は、父の遺産である賃貸マンション1軒を、私と4人の弟、1人の妹、6人で共有の状態で所有しています。
なかなか満室にならないので、1階の3部屋ほどの壁を壊して、ここに賃借人が自由に使えるスポーツジムを造りたいと思っています。私と弟4人は賛成していますが、妹が反対しています。
このように、共有者6人のうち、5人の賛成意見で共有物の一部を変更することはできるでしょうか。

A1.できません。
民法251条には、全員の同意が無ければ共有物に変更を加えることができないと規定されています。

▲ページの先頭へ戻る

 
 

Q2.それでは、マンションには手をつけずに、今、入居している賃借人との契約を全部解除して、『一括で借りたい』と私たちに言ってきている会社に寮として貸そうと思っています。妹は反対なのですが、私と4人の弟の賛成で、会社の寮にすることはできますか。

A2.賃借人との契約を解除することは、共有物の「管理」にあたると思われますが、このような場合は、各共有者の持分に従い、過半数で決する(民法第252条)とされていますので、6人のうち、妹さんの反対があっても賃貸マンションを会社の寮とすることはできます。
もっとも、会社との間の賃貸借契約の内容次第では、「変更」に該当することとなり、共有者全員の同意が必要となりますので、妹さんが反対した場合には、会社との間で賃貸借契約を締結できない可能性があります。
なお、建物のひび割れた場所を修理したり、建物を清掃したりする保存行為については、各共有者が単独ですることができます(民法252条但書き)。

▲ページの先頭へ戻る

 
 

Q3.6人兄弟で6分の1ずつ所有して、これを貸したり、管理することが面倒なので、思い切って売却してしまいたいのですが、嫁に行った妹が、その夫とともに売却に強く反対しています。このような場合、妹が1人でも反対すると、売却できないのでしょうか。

A3.民法では、共有物については、分割の協議をすることができ、協議が調わないときは、裁判所が分割を命ずることとなっています。
そして、分割によって、価値が著しく減少する場合には、裁判所は共有物の競売を命ずることと規定されています。賃貸マンションの現物分割は、価値が著しく減少する場合といえるでしょうから、民法では競売によって売却金を分配することになります。
しかし、民法の規定以外にも裁判所では、一定の要件のもとに、妹さんの持分を、適正な価格で他の共有者が買い取るという全面的価格賠償の方法を認めています。
もっとも、民法に規定はありませんが、判例上は、一定の要件のもとに、妹さんの持分を、適正な価格で他の共有者が買い取るという全面的価格賠償の方法が認められています。

▲ページの先頭へ戻る