家賃滞納Q&A

家賃滞納Q&A

家賃滞納に関するよくあるご質問

 
 

Q1.私のアパートの賃借人との契約書には、「家賃を1か月でも滞納した場合には直ちに契約を解除できる」と書いてありますが、このとおりにできますか。

A1.判例上、賃貸借契約を債務不履行解除するためには、賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊されていることが必要とされています。1・2か月程度の滞納では賃借人との信頼関係が破壊されたとはみなされませんので、賃貸借契約書にご質問のような文言があっても、よほど悪質な状況がない限り、明渡し請求は認められません。
賃料滞納によって賃貸借契約を解除するためには、通常は3か月から4か月の滞納が必要です。
また、契約書に「直ちに契約を解除できる」と記載してあったとしても、相手方に対し滞納賃料の催告(催促)をすることが必要です。もっとも、契約書に「催告を要せずして」と記載されていれば、催告(催促)は必要ではありません。

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Q2.滞納家賃の催告(催促)は口頭でも構いませんか。

A2.法律上は口頭でも構いませんが、裁判になった場合、口頭での催告(催促)は立証が困難です。そのため、内容証明郵便で、賃借人に対し、一定の期間内に滞納賃料を支払うよう催告(催促)する必要があります。
さらに、その内容証明郵便に「期間内に支払いのない場合には、改めて通知をせず契約を解除します」との文言を加えれば、再度解除の通知を出すことなく、契約を解除することができます。

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Q3.具体的に、裁判手続から現実の明け渡しに至るまでの経過はどうなりますか。

A3.まず、弁護士が事件を受任して必要資料が揃えば、すぐに訴状を作成し、裁判所へ訴えを提起することができます。
第1回の裁判期日は、訴訟提起から30日ないし40日程度で入ります。その時に相手からの特別な主張がなければ訴訟は終結し、ほぼ1か月以内に、明渡しを認める判決が下されます。
相手が争った場合には、お互いに主張・立証を展開することとなります。裁判期日は、概ね1か月毎に行われますので、手続は確実に進行します。
主張・立証が出尽くしたところで、裁判所から和解勧告がなされることが多く、条件面で折り合えれば、和解が成立して裁判は終了します。和解が成立しなかった場合には、判決となります。
明渡しを認める判決が下された場合、判決後、2週間を経過して控訴がなければ、裁判所に強制執行の申立てを行い、明渡しを実現することとなります。

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Q4.強制執行というのは、誰がどのようにするものなのですか。

A4.強制執行は、確定判決(「債務名義」といいます)に基づき、裁判所の執行官が行います。
執行官はまず現場に赴き、1か月以内に退居するよう賃借人に催告し、その催告に従わない場合には明渡しの実力行使(断行)を行います。

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Q5.「断行」とはどのようなものですか。

A5.執行官とその補助者が、建物の内部にある債務者所有の家財道具や債務者本人を実力で排除することです。
この場合、建物の中から家財道具を排除することになりますから、1か月程度これを保管する場所が必要となります。保管場所がない場合は執行補助者が場所を用意してくれますが、その保管費用が必要となります。
また、家財道具の量や部屋の広さなどによって執行補助者が用意する人夫やトラックの費用が必要となりますが、これら費用は催告後に見積もりが出されます。この断行費用はすべて執行官および執行補助者に対して直接支払うことになります。

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Q6.排除した家財道具などはどうなるのですか。

A6.執行官から債務者に対し、概ね1か月以内に取りに来るよう告知されますが、債務者が取りに来ない場合には、競売に付されて売却されます。

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Q7.弁護士費用以外にも強制執行の費用がかかるということですか。

A7.そのとおりです。
しかし、訴え提起から判決、執行官の催告、催告に応じない場合の断行、という順序を踏みますから、その過程で多くの家賃不払の賃借人は自ら退居することとなり、裁判所の断行(実力による排除)まで行わなければならない例はそれほど多くありません。

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Q8.賃貸人が家賃不払の賃借人の部屋の鍵を勝手に変えたり、部屋の中の動産を他の場所に移してしまうことはできませんか。

A8.家賃を滞納していても、賃借物である部屋の占有権は賃借人にありますから、勝手に部屋の鍵を変えたり、動産を移動させたりして、その占有を侵害することは、民法上不法行為になり、場合によっては刑法上の問題にもなります。自力救済は法治国家では禁止されているのです。

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