強制執行の体験談(4)

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先日も一件、建物明渡の強制執行が完了しましたので、ご紹介します。 今回の相手方はA会社という法人で、すでにその建物からは出て行っているようでした。しかしながら、後から何か言われても困るので、裁判所による手続きを執ることにしました。 まず、催告のため、執行官とともに建物に赴くと、建物には案の定、荷物のみ残されていてA会社は全くいなくなっていました。しかしながら、建物にはA会社以外の見知らぬ法人名の看板がいくつか掲げてありました。おそらくA会社は、この建物を勝手にいくつもの法人に使わせていたと思われます。 そこで、「他の占有者の存在が疑われる可能性あり」ということで、その日の催告はいったん中止となり、この見知らぬ法人を調べることになりました。 法人の登記を調べると、代表者の名前と住所が判明したため、代表者宛てに「この建物を現在使用しているか。使用しているなら、賃料や損害金が発生することとなる。」旨の通知を出しました。 するとその代表者は、「この建物を使用していない。」旨の返信をしてきました。 よって、この返信を執行官に示したところ、再度催告を行い、その後無事に建物の明け渡しも完了しました。 一見、裁判所の手続きを執る必要のないように思える強制執行ですが、A法人にもその他の法人にも、後から異議を述べられない状態となり、建物所有者は安心して次の賃借人の募集が出来るようになりますので、多少遠回りでも裁判所の手続きを執ることをお勧めします。