転貸物件の明渡し(占有移転禁止の仮処分)その1

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今回は、少し特殊な建物明渡しの事例です。 建物明渡しを求める際、賃借人が賃貸人の知らない間に、物件を第三者に転貸してしまっているという場合があります。 建物明渡しの強制執行は、実際に占有している個人や法人名と判決の記載が違っていると、執行不能となってしまう場合があります。 転貸されている、もしくは転貸されそうな物件の強制執行を無事完了させるためには、事前に『占有移転禁止の仮処分』を行うことが効果的です。 これは、この仮処分を行う際の占有者さえ分かっていれば、その占有者に対し、「今後は占有を移転してはダメですよ。」と執行官が公示し、その後は執行官が物件を保管することとなる保全処分の一つです。 この仮処分を行っておけば、いざ建物明渡しの強制執行で物件を訪れた時に、占有者が変わっていても、その占有者に対しても明渡しを主張でき、強制執行を無事終了させることができます。 『占有移転禁止の仮処分』は、通常の明渡し実務より手続きや費用が3割程余計にかかりますが、確実に建物明渡しを完了できる手段です。 次回は、具体的にこの『占有移転禁止の仮処分』を行った事例をご紹介します。